世界脳週間2010京都講演会 ようこそ脳科学の最先端へ
開催趣旨:脳科学は21世紀自然科学の柱の一つです.脳科学の重要性,脳研究のおもしろさを伝えるイベントが世界脳週間として全世界で行われます.日本の各地でも世界脳週間のイベントが企画されています.その一環として,次世代を担う高校生に脳の面白さを伝えるために講演会を企画いたしました.講演会は京都市堀川高校の普通科・探究科の特別授業として行われますが,他校の生徒,一般の方々の御来聴も歓迎します.また中学・高校の教員の皆様にも是非御来聴いただき,最新の知識を教育に生かして頂きたく存じます.
日時: 平成22年4月24日(土)13:30〜16:45
会場: 京都市立堀川高等学校
13:30〜15:00 前頭連合野の働きを通して、人のこころを理解する 船橋新太郎 (京都大学こころの未来研究センター教授)司会:篠本 滋 (京都大学大学院理学研究科准教授)
15:15〜16:45 脳とホルモン:意外な組み合わせが、性や社会行動をコントロールしている
河田光博 (京都府立医科大学教授)司会:金子武嗣 (京都大学医学研究科教授)
主催: NPO法人脳の世紀推進会議,文部科学省,厚生労働省,経済産業省 http://www.braincentury.org/brainsympo/index.html
代表: 京都神経科学グループ 篠本 滋 京都大学大学院理学研究科准教授, 金子武嗣 京都大学医学研究科教授
共催: 京都市立堀川高等学校 後援: 京都市教育委員会
川浪教頭先生「高校に入ってこれからは,きいただけではわからない話もでてくる」というような趣旨の話でした.脳週間講演会は堀川高校に入学して始めて体験するショックとして定着していますね.
高校生自身が講演会の進行,質疑応答の受付などやっています.大変立派.
篠本による司会:今回はいつものお笑いはとらずに,世界脳週間の趣旨を説明した後,前頭連合野に関する船橋−ゴールドマン・ラキーチの研究が世界的に有名な優れた研究であることをまじめに紹介しました.
船橋さん:脳の構成の話しから始まって,前頭連合野に損傷を負ったフィニアス・ゲージにおこった性格変化などについて,物語風に解説され,イントロは快調な滑り出し.
船橋さんは高校で教えたことがあるそうですが,入学したばかりの高校生に「神経細胞が髄鞘化することで伝導速度が速くなる」と話してしまっていました.
前頭連合野が人の心にどのように関与しているか,その様子をサルの実験を通してどう理解していくのかを熱弁.
講演の後に質問も相次ぎました.ある高校生から「動物には心があると考えるのですか」という,大変鋭い質問を受けた船橋さんは「...それは...大変良い質問ですね...」と立ち往生.
金子さんが河田さんを紹介.「河田先生は音楽も好きなようだが,酒も好きなようだ.研究者というのは酒飲みが多い.というのは研究というのはほとんどが失敗だから酒でも飲まないとやっていられない」
河田さんの講演は性の話しなので,どういう展開になるのか,と心配・期待していましたが,極めて学術的な講義になりました.ホルモンとは何か.オキシトシンが社会的行動にどのように影響しているのか,についての分析的研究.
シナプスの説明にミケランジェロ「アダムの創造」を用いるなど,高校生に伝えるように工夫をされています.講演途中で「休憩時間」と称してアンジェラ・アキ「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」の歌を流したり.青春というのは脳活動だというメッセージ,かな.
今年は事前に新聞報道されたこともあってか一般の聴衆も多く,生徒による質問に加えて一般の方の質問もありました.高校生の代表による挨拶も立派.
講演者,司会者,への花束贈呈.生徒が司会進行をおこなって毎年感心しています.