世界脳週間2007 京都講演会

ようこそ脳科学の最先端へ 

 

開催趣旨:脳科学は21世紀自然科学の柱の一つです.脳科学の重要性,脳研究のおもしろさを伝えるイベントが世界脳週間として全世界で行われます.日本の各地でも世界脳週間のイベントが企画されています.その一環として,次世代を担う高校生に脳の面白さを伝えるために講演会を企画いたしました.講演会は京都市堀川高校の人間探究科・自然探究科の特別授業として行われますが,他校の生徒,一般の方々の御来聴も歓迎します.また中学・高校の教員の皆様にも是非御来聴いただき,最新の知識を教育に生かして頂きたく存じます.

 

日時:       平成19年4月21日(土)13:30〜16:45

会場:       京都市立堀川高等学校,京都市中京区東堀川通錦小路上ル四坊堀川町622−2

13:30〜15:00 聴覚のしくみ −音の方向を特定するための、聴覚の働き−

大森治紀(京都大学医学研究科教授)司会:篠本 滋(京都大学大学院理学研究科准教授)

15:15〜16:45 脳の進化(Evolution of the brain

山森哲雄(基礎生物学研究所教授)司会:外山敬介(京都府立医大名誉教授)

主催:NPO法人脳の世紀推進会議,文部科学省,厚生労働省,経済産業省http://www.braincentury.org/brainsympo/index.htm

代表:京都神経科学グループ; 共催:京都市立堀川高等学校; 後援:京都市教育委員会

 

 

川浪教頭先生「簡単な話じゃないが,難しさを体験しよう」というような趣旨の話でした.総合司会の高校生.

篠本による司会:「今回は大森先生・山森先生の組み合わせで,おなかいっぱい,という感じですが」という冗談が聴衆に大受けしたので,むしろ驚いています.

 

大森さん:音の方向を特定する能力,音源定位の仕組みについての研究について,最新のご自身の研究成果もふまえてご説明されました.「フクロウやコウモリが聴覚のスーパースターとして有名ですが,ニワトリも基本的にはスーパースターであるフクロウと同じ仕組みで音を聞いている」.1つ1つの要素の小さな違いの積み重ねが,スーパースターを作るということでした.後半は学会発表なみに高度な内容になりました.

外山先生が山森さんを紹介.「最近,風邪を引いても熱を下げないほうがよい場合があることがわかってきた.その根拠の一つに山森さんの熱ショック蛋白質の発見がある.」

 

山森さん:宇宙に存在する最も精巧な構造である脳が,進化の過程でどのように発達してきたか,中脳を中心とした指令系統を発達させた種と前脳を発達させた種を例に挙げることで,その神経指令の特徴を比較されました.大脳皮質の6層構造の普遍性,種を超えて共通した領野特異性の存在などは,すべての動物種にわたって共通する神経系情報処理機構を論じることの意義を実感しました.

 

高校生は果敢に質問していました.感謝の言葉の後,花束をいただきました.