世界脳週間2006 京都講演会
ようこそ脳科学の最先端へ
開催趣旨:脳科学は21世紀自然科学の柱の一つです.脳科学の重要性,脳研究のおもしろさを伝えるイベントが世界脳週間として全世界で行われます.日本の各地でも世界脳週間のイベントが企画されています.その一環として,次世代を担う高校生に脳の面白さを伝えるために講演会を企画いたしました.講演会は京都市堀川高校の人間探究科・自然探究科の特別授業として行われますが,他校の生徒,一般の方々の御来聴も歓迎します.また中学・高校の教員の皆様にも是非御来聴いただき,最新の知識を教育に生かして頂きたく存じます.
日時: 平成18年4月22日(土)13:30〜16:45
会場: 京都市立堀川高等学校, 京都市中京区東堀川通錦小路上ル四坊堀川町622−2
13:30〜15:00 私たちは望ましい行動をどのように決め,どのように行なうのか
木村實 (京都府立医科大学教授) 司会:篠本 滋 (京都大学大学院理学研究科助教授)
15:15〜16:45 ここまでわかった心のメカニズム〜なぜキレるのか?落ち込むのか?〜
山脇成人 (広島大学医学部教授) 司会:外山敬介 (京都府立医大名誉教授・島津製作所基盤技術研究所顧問)
主催: NPO法人脳の世紀推進会議,文部科学省,厚生労働省,経済産業省 http://www.braincentury.org/brainsympo/index.html
代表: 京都神経科学グループ
篠本 滋 京都大学大学院理学研究科助教授, 外山敬介 京都府立医科大学名誉教授・島津製作所基盤技術研究所顧問
共催: 京都市立堀川高等学校
後援: 京都市教育委員会
今年から担当してくださる川浪教頭先生.「簡単な話じゃないだろうが,がんばって聞こう」というような趣旨の話でした.総合司会の高校生.
篠本による木村さん紹介.「木村さんは,当時東大医学部助教授の外山先生の鬼のような指導に耐えて,優れた研究者になられた.」
木村さん:ドーパミン系が報酬予測誤差を表現,線条体のニューロンが価値を表現することを示す,ご自身の実験研究を紹介.「レストランに行って食事をする時には,まずメニューの説明や過去の経験に照らし合わせて美味しそうな料理を選ぶ.志望の大学を決めるときにも,沢山の選択肢の中から志望する大学・学部の特徴や自分の実力によって決める.」という比喩で導入.しかしその直後に,やおら強化学習の数式を出すあたりが木村さんだなあ.高校生は熱心に聞き入っています.
外山先生が山脇さんを紹介.「大変忙しい山脇先生に広島から来て頂きました.高校生の皆さんは一言も聞き漏らさない気合いで講演を聴いてください.」
山脇さん:ストレス社会でのうつ病と自殺の増加について導入.次にストレスに対する脳の反応について,ネズミを使って調べた研究報告.機能的MRIを用いて,「デブ」「肥満」などの不快な身体イメージを表す言葉に対する脳の反応を男性と女性で調べ,身体イメージに関しては男女差があることを確認した研究報告.心の活動が脳内物質でコントロールされるという事実への高校生の反響は大きく,質問が相次ぎました.
高校生から講師たちへの感謝の言葉,花束贈呈.大変活発な講演会でした.広島からいらした山脇先生は堀川高校の生徒の活発な反応を見て「日本の将来はまだまだ大丈夫だなと希望がもてました.」
|
「脳」をおもしろくわかりやすく |
||
脳研究のおもしろさを高校生や市民にわかりやすく伝える講演会「ようこそ脳科学の最先端へ」が22日、京都市中京区の堀川高で開かれた。研究者が「幼少期に受けた心の傷は、うつ病になるリスクを高める」など、心の問題を脳のはたらきから読み解いた。
「世界脳週間」のイベントとして、京都大大学院や京都府立医大の研究者でつくる京都神経科学グループが主催した。堀川高の人間探求科・自然探求科の特別授業の一環で行われ、同高の生徒と市民約300人が参加した。
広島大大学院の山脇成人教授は、うつ病患者と自殺者の急増という社会問題から、「うつ病の脳内メカニズム」を取り上げた。最近の脳画像の研究をもとに、うつ病には、情動を制御する脳の機能異常が関与していると指摘。また、虐待や育児放棄など幼少期に強いストレス体験をすると、ストレスに対して弱くなり、うつ病になりやすいと報告した。
また、京都府立医大大学院の木村實教授は、食事や進路選択など私たちが行動を決定するまでの脳のはたらきを、絵や図式を用いて解説した。 |