世界脳週間2005 京都講演会
ようこそ脳科学の最先端へ
開催趣旨:脳科学は21世紀自然科学の柱の一つです.脳科学の重要性,脳研究のおもしろさを伝えるイベントが世界脳週間として全世界で行われます.日本の各地でも世界脳週間のイベントが企画されています.その一環として,次世代を担う高校生に脳の面白さを伝えるために講演会を企画いたしました.講演会は京都市堀川高校の人間探究科・自然探究科の特別授業として行われますが,他校の生徒,一般の方々の御来聴も歓迎します.また中学・高校の教員の皆様にも是非御来聴いただき,最新の知識を教育に生かして頂きたく存じます.
平成17年4月23日(土)13:30〜16:45京都市立堀川高等学校
京都市中京区東堀川通錦小路上ル四坊堀川町622−2
「眼の動きと脳」 河野憲二 (京都大学大学院医学研究科教授)
司会:外山敬介 (京都府立医大名誉教授・島津製作所基盤技術研究所顧問)
「遺伝子、脳、こころ−マウスの研究からわかったこと」宮川 剛 (京都大学大学院医学研究科助教授)
司会:篠本 滋 (京都大学大学院理学研究科助教授)
主催: 脳の世紀推進会議 (NPO 特定非営利活動法人)http://www.braincentury.org/suisshin/
代表者: 京都神経科学グループ 篠本滋 京都大学大学院理学研究科助教授 外山敬介 京都府立医科大学名誉教授・島津製作所基盤技術研究所顧問
外山先生が河野さんを紹介.「河野さんの研究は,必要にして十分と大変要を得たものである.高校生の皆さんもこの必要十分というところを学んでほしい.」ところで,河野さんは東大医学部の学生でいたころに,当時東大助教授でいた外山先生の講義をきいていなかったらしい,,.
河野さん「眼の動きと脳」.まず,眼とカメラの違いについてデモンストレーションをとおして聴衆に体感させ,眼球運動の必要性とその種類(サッケード運動や視運動性反応,追跡眼球運動,輻輳開散運動など)の説明.motion after effectや眼球運動に伴う視野の変化など,どれも聴衆が体感できるデモンストレーションを織り交ぜてじつに話がうまい.
高校生も楽しくきいています.
質問も活発でした.高校1年生はまだかわいらしいですね.
篠本による(いつもどおりの)型破りな講師紹介.「ジーンターゲッティングで最先端を走る宮川さんは,文学部,という繊細なイメージが全くない」
篠本の紹介を受けて「文学部らしくない宮川でございます」と登場.カルシニューリン欠損マウスは,作業記憶の能力に選択的で顕著な障害を持っており,さらに活動性が高まっている,注意能力が落ちている,社会的行動が低下しているなどの様々な行動の異常を示す,それが精神疾患の一つである統合失調症の患者の方々が示す症状と類似している.ご自身の研究を軽妙な語り口で説明.
熱心に質問する高校生.
篠本が質問:「外山先生をはじめとしたVIPたちが,カルシニューリン欠損マウスと同様に作業記憶課題がこなせなかったということは,VIPに成るためにはカルシニューリンが不足したほうがよいということでしょうか?」.外山先生は篠本に「エイリアンみたいな質問をするから普通の人が驚いてしまっているじゃないか」
宮川「そういうことを研究すると研究予算がもらえなくなります(笑)」
高校生から講師たちへの花束贈呈. 大変活発な講演会でした.