脳のセミナー
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第49回
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演者: 八木田和弘氏(京都府立医大)
題目:概日時計の成立機構 時の刻み始め
日時:2011年11月15日14:30-18:00
場所:京都大学医学研究科C棟4階セミナー室
概要:「時間」を測るしくみは神経科学における基本テーマの一つである。生物は昼夜季節といった「時間」とは不可分な環境で生きており,時間を知ることは生存に極めて重要な意味を持つ。そのため,生物は内在性の測時システムを創出し外界の時間を知るセンシング機構を発展させてきた。今回は,最も基本となる概日時計が哺乳類の発生過程でどのように獲得されていくのかという問に、ES細胞やiPS細胞をツールとして用いた研究法で迫ろうとする我々の研究を紹介したい。その上で、生命が発展させてきた測時機構とその意義について議論したい。
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外山「八木田さんは私の後任である木村君の後任.私が府立医大にいたときの学生.岡村均さんのもとで概日リズムの研究を進められた」
その後,セミナーを外山先生がやってしまうのではないか,と思われるくらい詳しい説明がありました.
父上の恩師から影響をうけて,小学生の頃から医学研究をしたいという志を持っておられたそうです.モティベーションが高い小学生だったんですね.
八木田さんが後日三好和夫先生のことを調べてみると,これはそのまた師匠の沖中重雄先生の言葉であることが入っており,世代を超えて語り継がれた名言であると感動されたそうです.
京都府立医大に入学→入局→大学院→神戸大学助手,そのあと名大4年任期再任なしのポジションにチャレンジ,そのあと京都府立医大教授.
概日リズムは視交叉上核(suprachiasmatic nucleus, SCN)にのみ在る,というそれまでの常識を覆し,(ほぼ)全身の細胞に存在するということを,2001年に岡村均先生のもとで発見されました.
精祖細胞には概日リズムがないが,胎生期に体内時計が形成されることがわかりました.そこで,最近2010の研究では,ES細胞を用いてリズム発生プロセスを調べておられます.
篠本「これホップ分岐ね」
八木田「ホップ分岐です」
金子「メディウムチェンジがゆっくりできればもっとはっきりする.できない相談ではないでしょ?」
篠本「口で言うのは簡単だな.実験は大変でしょう」
しかし,遺伝子操作で行ったり来たりできるというのはすごいと思いました.
アフターセミナー:
八木田「『頭の中までおれのもの』という先生がいて,これは一面正しいけれども...」
外山「『おれのもの』は言い過ぎだが,一面正しい.先生というのは学生の頭の中まで制御しなけりゃいかん.だのに篠本君なんか何かあるたびに『学生に相談してみます』なんていっている」
医者が多いこともあってホスピスの話題がでました.
金子「ホスピスというのは理想だけではできない.現実はとんでもなく大変だ」
外山「生命をきれいに終えるなんて事はあり得ない」