---------------------------------- 第47回 -----------------------------------
演者:春野雅彦氏(情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター)
題目:向社会行動における扁桃体・線条体の役割
日時:2011年7月12日(火) 14:30−18:00
場所:京都大学医学研究科C棟4階セミナー室
概要:扁桃体は古くから社会性に関係する脳部位とされてきた。一方で、線条体も他者との報酬を介した意思決定に関与する。しかしながら扁桃体、線条体に前頭眼窩皮質を含めた領域で何が行われているかは依然不明であり意思決定の脳科学の重要問題の一つである。今回は我々が行った実験のデータを紹介しながら今後進むべき方向に関する議論をお願いしたい。
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外山先生による紹介「春野さんは初期にATRで銅谷さん川人さんたちと stimulus action reward association learning において,困難さとして stochasticity をいれるというアイデアの仕事をしてこれは斬新であった.この人はハヤリが好きで,今は social reward の仕事をしている.こないだファミレスで3時間,話し方を教えた.その話し方でやってほしい」
春野「外山先生から『方向性が見えるように話せ』と言われました.まず研究人生を話すと言うことで:高校では数学と共に日本史,地理がすき.京都大学工学部に入ったが人間に関することが面白いと思っていた.大学院(長尾研)では研究もやったが,インドなど放浪をして『幸福ってなんだ,環境ってなんだ,異民族ってなんだ』ということを考えさせられた」その後NTTに入って言語データの統計的学習.川人さんに出会ってATRに出向.計算理論.コミュニケーションの研究.やがて意志決定,社会的意志決定の研究へシフト.今は「公平/不公平感を伴う社会行動の基盤」をテーマに研究しておられます.
自分と他人の取り分の組み合わせを(100, 100),(110, 60),あるいは(100, 20)円の中から選んでもらう.この選択に応じて,人のタイプを各々,
@Prosocial(向社会的)自分と他人との差を最小化
AIndividualistic 自分を最大化
BCompetitive 自分と他人との差を最大化
と言うように分類する.
外山,篠本「当然2番目でしょう.他の選択をする理由がわからない」
皆「・・・」
春野「individualistsの扁桃体は大きい,autismの患者も大きい」
春野「記憶タスクで前頭葉に負荷をかけるとindividualistsはcompetitiveになる.自分と他人との差を最大化するというほうが基本的で,前頭葉で損得を計算していることになる」
篠本「とすると,外山,篠本はかしこいということになる(笑)」
皆「...」
篠本「扁桃体のこれだけ多くのニューロンを使って好き嫌いの3パラメータだけを計算しているというのは何か寂しいような」
外山「この研究では社会行動を最初から3タイプに決めてかかっているが,いろんなテストから自然と分類が出てくるようなものならおもしろい」
アフターセミナーにて
春野「これまでindividualists, prosocialists をみてくると,そもそも目が違うんですね」
金子「こいつ(篠本)の目をみてどう思います(笑)?」
春野「・・・(笑)」
あとは,外山先生のアイデアで,研究者を,頭で考える人,体で考える人,情念で考える人,に分類して盛り上がりました.