---「脳のセミナー」---
---------------------------------- 第39回 -----------------------------------
演者:中村克樹氏(京都大霊長研)
題目:動作とコミュニケーション
概要:ヒトのコミュニケーションには、言語を介するもの(言語コミュニケーション)と言語を介さないもの(非言語コミュニケーション)がある。動作を中心とした非言語コミュニケーションは、言語を獲得する前の乳児にもみられ、文化を越えて共通のものもあり、ヒト以外の動物にも見られることなどから、コミュニケーションの起源であると考えられる。乳児がコミュニケーション能力を獲得していくときにこうした動作の理解が重要である。動作の理解とコミュニケーションの関連について考える。
日時:2009年10月27日(火)14:30−18:00
場所:京大医学研究科G棟2階 セミナー室B (239室)
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中村克樹さんの自己紹介:学部は京大理の生物物理の研究室にいた中村さん.大学院は他大学の某研究室も受けて「人の心につながる研究をしたい」といったら「やめとけ」と言われたそうです.
京大霊長研の久保田競先生の研究室に入られ,その後,霊長研の助手・助教授,神経研の部長を経て霊長研教授.扁桃核のニューロンが表情に反応することを見いだされています.
今回は新しい研究テーマである,動作とコミュニケーション,について話したいとのことで,視線,動作,身振り,表情,などと脳活動の相関を調べたところ,大脳右半球の,ブローカ言語野の位置が共通する場所であったそうです.
外山「なぜ運動関連領野に反応がでるのか」
篠本「ウェルニケ言語野には出なかったのですか?」
自閉症児の支援プログラムなどで,どのようにコミュニケーション能力をつけさせるか,というような社会的な応用を考えておられるようです.
中村「ヒトは指さしをするが,サルはしない.また,ヒトは白目部分が多く,視線がどこを向いているかを表出しやすい.これらの事実はヒトのコミュニケーション機能の高さを示している」
外山「心理学のブラックボックス的思考ではダメだ」
Sさん「...」
外山「心理学ではなくて神経科学的に見なくては生産的ではない」
Sさん「...」
アフターセミナーは,やはり theory of mind の話題で盛り上がりました...
外山「theory of mindを『心の理論』と呼ぶのは誤訳だ.『心』は heartで,mind は『智』とすべきだ」
篠本「要はmental rotationですよね.視点の座標変換ができるかどうかですが,ぼくはできるよ」
外山「私は theory
of mind はもっている.わかっていて無視しているだけだ.赤信号に気がつきながら道路をわたっているようなもので,赤信号に気がつかずにわたっているのとは違う」
皆「...そっちのほうが悪いじゃないですか」
このほか,theory of mind
関連でやや問題のあるかもしれない人の話とかで異様に盛り上がりましたが,それは記録抹消.