- 「脳のセミナー」 ---
- 第36回
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演者:田中真樹氏(北海道大学大学院医学研究科)
題目:眼球運動を指標にした随意運動研究
概要:霊長類の眼球運動は、末梢の動特性と脳幹レベルでの情報処理がよく調べられているため、高次中枢による運動の制御機構を理解するためのよいモデルとなります。私はこれまで、行動課題を訓練したサルを用いて、前頭葉皮質とその主要な入力源のひとつである運動性視床が、合目的的な行動を構成する
際にどのような役割を果たしているのか、単一ニューロン記録、微小電気刺激、局所の薬理学的不活化などを組み合わせて調べてきました。セミナーでは最近の視床を介した上行性経路の機能を調べた研究を中心に紹介します。
日時:2008年10月7日(火)14:40−18:00
場所:京大医学部先端科学研究棟1階セミナー室
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田中真樹さんの紹介が,なぜかたらい回しになってしまいました.
篠本「外山先生,紹介お願いします」;外山「田中さんのことはよく知らない」;河野「ご自分で紹介されると思います」...
この一見冷たい仕打ちに田中さんはショックを受けたと,アフターセミナー夕食会にて告白されましたが,実は誰も悪気はなく,
外山:「田中さんのpresentは知っているがpastは知らないという意味だ」;河野「何年の卒業か知らなかったから紹介できなかった」.
全く悪気がなくて,このような対応をしてしまうメンバーをお許しください.
北大医学部で,分子生物学,脳,精神医学,などに興味を持ち,彦坂さんや,外山先生のところを見学したそうですが(外山先生:「記憶にない...」)福島さんの研究室を出て米国Lisbergerに入門(そこで河野さんに立派な推薦状を書いて頂いたとのことです).今は「眼球運動を指標に随意運動を研究」.Lisbergerから感じとったもの「General, Straightforward,
Independent」の精神だそうです.
Saccade adaptationの小脳学習を巧妙に組み合わせた実験にて,脳内の「モニター」信号を確かめる,とのことでしたが,
篠本「monitorというのはいったい何ですか」.
田中「collorary dischargeのことです」
篠本「???」
田中「efference copyともいえます」
篠本「???」
物理系の人は理解できなかったが,他分野の人は理解できたとのことでした.不思議.
次は,視床は運動のinitiationに関与するかを確かめるためのmuscimol注入実験.visually guided課題,memory
guided課題,self-timed課題に及ぼされた影響の分析.
篠本「self-timed実験ではfixation spotにとらえられて動けないのか,時間がわからなくなったから動けなかったのか,判断できないですね」
外山「それを田中さんがこれから説明してくれるんでしょう.馬鹿な質問をするんじゃない」
田中「...」
このスライドは,逆saccadeが必要な状況を表した図.
とらえがたい運動性視床をとらえようとする研究をエネルギッシュに進める田中さんは偉い,と思いました.
田中真樹さんも医師免許をもっていて使わなかった組ですが,アフターセミナーはそういう人ばかりで
外山「私なんかね,医者になろうと思ったけどね...」
皆「えええっっ?」
外山「(実は親父からいわれて)ならせられそうになったけどね...」
皆「なるほど」
Sさんは実習とぶつかっているために欠席でした.避けているわけではない証拠としてその予定表を送ってこられました.