- 第34回
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前頭葉の前部に位置する前頭前野は、状況に応じて適切な行動を紡ぎ出すことに重要であることが、前頭葉損傷患者の症例報告などから知られています。新しい状況ではしばしば、刺激−行動−結果の間の関係性が変わりますので、刺激−行動−結果の間の繋がりを正しく学習して、より適切な行動を選ぶ必要があります。このようなときは、刺激—行動の連合に基づいた習慣的な行動選択は役に立たないため、まず結果を想起し、その結果を導くための行動を選ぶというように、「目標指向的」に行動が選択されます。そして、実際に得られた結果が、そのときの期待値よりも良かったか悪かったか(予測誤差)に基づいて、取り得る各行動の望ましさ(行動価値)を学習していくと考えられます。これら、目標指向的な行動選択と、予測誤差による行動価値学習との両方に、前頭前野内側部が重要な関わりを持っていることを示す私たちの研究についてご紹介致します。これらの所見は、行動主体が実際の行動を介して環境と相互作用することによって、適切な行動選択が可能となっていくことに、前頭前野内側部が重要な役割を果たしていることを示唆していると考えます。
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外山先生による講演者紹介「実はね,私は松元さんのことをよく知らないんですよ」
松元さんの研究人生:「自分はなんで動物が好きなんだろう?」→「動物が心を持っているように思えるからだ」→「脳を研究しよう」→帯広畜産大学に入学→入学して志を話したら「君は入る大学を間違った」といわれた→「主体性の脳機構」の研究にむけて大学院で京大霊長類研究所に進学→理研→CalTech→玉川大学脳研.
刺激−行動−結果を分離する試み.Go/No-Go課題にて,報酬をGoにのみ出していたのが,GoもNo-Goも共に出すようにしたら正答率が半減した,という報告に議論百出.
篠本「食糧不足の時代に育った外山世代はよく働くが飽食時代のぼくらはよく働かない,ということだよね」
小川「正答率が下がっても,報酬が出る頻度が上がっているから損はしていない」
篠本「単位時間あたりの報酬の量を一定にするように調整したらどうか」
金子「腹が減っているときには水1滴でも10滴の価値がある」
河野「サルはタスクが変わったことに怒っているんですよ」
外山「この実験はだめです.次にいきましょう」
いろいろ厳しいことを言われても,めげずにがんばる松元さんは偉い.
松元「同意なさるかどうかは別として,結論をまとめますと,,.」
アフターセミナーでは外山先生がいいわけ.「これはやっつけるためのセミナーではない.将来性があってなおかつ鍛えがいがある人を選んで話してもらっている」
外山「しかし例外もある.次回は逃げる合原を追いつめる,という知的ゲームである.あの手この手でくるだろうから,モグラたたきだな」
...次回の合原さん,がんばってくださいよ.
松元「ところでSさんって,なぜSさんって言うんですか?」
金子「Sさんが今日も来ていなかった.寂しいなあ」
Sさんは実習の関係で欠席でしたが第2回に発表して以来8年も経っているから,もう一度発表すべきだとメールしましたら
Sさんからは「それは自殺行為と言ってよいでしょう。マゾじゃないんだからね。」との返事をいただきました.