- 「脳のセミナー」 ---
- 第31回
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演者:吉村由美子(名古屋大学・環境医学研究所)
演題:大脳皮質一次視覚野の神経結合特異性
日時:2007年6月12日(火)14:40−18:00
場所:京都大学医学研究科A棟103室
要旨:大脳皮質一次視覚野は、その複雑な神経回路を基盤として視覚情報処理を実現していると思われる。これまで私は、視覚野のスライス標本において2細胞同時ホールセル記録法やケージドグルタミン酸による局所刺激法等を用いて、神経回路特性を解析してきた。その結果、視覚野2/3層の錐体細胞は、2/3層内にある他の錐体細胞や4層の興奮性細胞のサブグループから特異的に入力を受け、微小神経回路を形成していることを見出した抑制性細胞のサブタイプの一つであるfast spiking細胞もこのマイクロサーキットに組み込まれていた。従って、これまでに知られている機能コラム内にさらに微細な微小神経回路が埋め込まれており、それぞれにより独立した情報処理を行うことが可能と考えられる。また、最近我々は、視覚野の2/3層には、錐体細胞が抑制性細胞の細胞体を介さずに、直接抑制性細胞の終末を活性化し、伝達物質を放出させるような抑制性回路が存在することを報告したので、併せて紹介したい。
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Nature, Nature Neuroscience, Scienceと連続ホームランの吉村さん.大阪大学津本先生,バイオサイエンス研究所渡辺先生,名古屋大学小松由紀夫先生,ソーク研究所Callaway先生などの元で,スライス一筋でやってこられました.外山先生による紹介「顔も名前も知っていましたが,今日初めて顔と名前が一致しました.吉村さんは小松由紀夫君の弟子なので,孫弟子ということになる」
吉村「ここ(外山先生の前)でcross correlationを説明するのは勇気がいるのですが.がんばっていきます」
外山「いいデータを見せなければいけない.一番いいデータを持ってくるのは当然でね.それ以外はもっと悪いとわかっている」
外山「このコネクションの持つ意義は?」
吉村「このコネクションの役割として,状況に応じて異なる集団が反応する,というのはどうでしょう?」
篠本「その説明はSさんみたいだな」
外山「Sさんみたいに△△△説になってしまうのではあまりおもしろくない」
河野「ラットの視覚野を実験されていますが,暗いところで育てたラットと明るいところで育てたラットでは行動に違いは?」
吉村「同じです」
全員「・・・」
大変インパクトの強い仕事で,皆感動しました.最近Scienceに出た,Axo-axonic
Specialized Inhibitory Synaptic Actionsも大発見だと思います.
篠本「意外な結果ですよね」
外山「これはよい研究だが,本当によい研究は意外を意外でなくするような(一般性のある)研究だ」
アフターセミナー夕食会メンバーの恐るべき会話に,吉村さんは食べることもわすれて笑い続けておられました.
河野「××さんは○○先生を怒らせたんですか?」
外山「××君は誠意を尽くして謝るということをしないからいけないんだ」
篠本「・・・外山先生,今までそういうことをやったことあります?」
外山「ぼくはそういうことをしなくても何とかなる.人を怒らせたことはない」
金子「外山先生が忘れているだけですよ.相手も不都合なことは無かったことにしている」
・・・
金子「▲さんは「アブラギッシュ」という感じですね」
篠本「●さんは大脳を使って生きていない」
外山「■さんには体力はないが「鈍感力」がある」
クイズ:この▲,●,■のうちどれがSさんでしょう?