--- 「脳のセミナー」 ---
--- 第24回
--------------------------------------------------
演者:村田 哲氏(近畿大学医学部)
題目:「物をつかむための神経回路」
日時:2005年7月12日(火)15:00−18:00
場所:京都大学基礎物理学研究所(K206)
概要:視覚の背側経路は空間情報処理に関与すると考えられてきたが、そうした空間情報は運動制御にとって重要である。私たちは、手指のより細かな操作運動の制御に関わる神経回路について研究を行ってきた。一連の研究から、下頭頂小葉と腹側運動前野を含むネットワークが3次元物体についての情報を使って、手指操作運動の制御をおこなっていることが明らかになった。近年、こうした感覚運動制御の神経回路は、認知機能との関わりも指摘されている。サルの脳においても、手指操作運動に関わる下頭頂葉と腹側運動前野におけるミラーニューロンの発見により、コミュニケーションや心の理論などとの関連が取りざたされている。しかし、実際にミラーニューロンの発見されたサルの脳で、こうした認知機能と本当に結びつくのであろうか?このセミナーでは、下頭頂小葉―腹側運動前野のニューロンの機能的性質とともに、ミラーニューロンと運動制御との関連について考える。このことは、ヒトの認知機能の発達と運動制御との関わりについて何らかの示唆を与えると考える。
---------------------------------------------------------------
事前依頼にて
篠本「脳のセミナーお願いします」
村田「ぎゅうぎゅうやられて,ひどい目にあうんでしょう?」
篠本「こないともっとひどい目にあいますよ」
で,納得してきていただきました.でも「脳のセミナー」は和気あいあいとしたセミナーですので,皆様誤解なきよう.
村田さんは脳外科医を2年やってから神経科学に入ったそうです.若い人へのメッセージ:「良い指導者に巡り会うことが大切です」
村田「まずはグラスピングとリーチングの違いから」
外山「ソマトトピーだけの話ではないのか.根本的違いはあるのか」
AIP, F5 の細胞の反応をvisual and motor, visual dominant,
visual-non-object, motor dominant, object centered, body centered, retinotopic centered, と分類していく大変な作業です.
村田「これとこれは(反応が)ちがう.これとこれは同じ」
外山+金子「すべて同じように見える」
篠本「このデータでレフェリーをどう説得するのか,その方法を教えてください」
村田「・・・だから・・・まだ論文になっていないのです」
皆「・・・なるほど・・・」
内藤さん,久々の登場です.セミナーは概して外山先生のほうが村田さんより多く話している感じですね.今日も珠玉の名言が続々:
「サルがそう思っているのかどうかの証明になっているのか?」「タスクを考える前にアイデアがあるでしょ」
遅延画像を見せたときに500msec程度の遅延で画像の反応が消えるニューロンが見つかった.
篠本「サルにとっては遅れた画像は(行動には)影響ないですよね」
外山「サルとニューロンと混同するな!」
定義や解釈などには問題が山積みですが,やはり「ミラーニューロン」というのはとても刺激的,挑戦的テーマです.セミナーは大入り.
今日もアフターセミナーはおそろしく盛り上がりました.前回欠席してさんざんひどい目にあったSさんはもちろん出席.
外山「Sさんが3回も質問した.Sさんも口を開けばいい質問をする」