--- 第22回
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演者:河西 春郎氏(生理学研究所,東京大学大学院医学系研究科)
題目:2光子励起法による大脳シナプス機能と可塑性の研究
日時:2004年12月14日(火)14:40−18:00
場所:京都大学基礎物理学研究所 研究棟・会議室 K206
神経科学も精密科学になったということを実感させる,すごい研究です.
参考: Nature 429:761-766, 2004
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神経科学がこれから大きく変わる.そんなことを予感させられる見事な研究です.
恒例「私の研究人生」からスタート.東大医学部の学生時代,「外山先生の講義で神経生理が嫌いになった学生もたくさんいた」そうですが,河西さんは外山講義をきいて,研究者への道を選んだそうです.「たくさんの人をすこし満足させるよりも,少数の人に大きな影響を与えるのが,よい講義かもしれません」,ええと,この発言は外山先生をほめているのかな?
東大時代の外山先生最後の学生となった河西さんは,以後ボトムアップ研究への道をまい進.95年2光子励起法活用例にヒントを得て,精力的に研究を進め,ついに1スパインLTPの検証に成功.
Caged glutamateの影響の局所性検証.
篠本:「へえ,生理学者も拡散方程式解くんですかあ,,.」
外山:「AMPAレセプターの広がりとdiffusionのどちらが効いているのか」
河西:「ええ,ええ,ぜんぶいいます!」
あいつぐ外山攻撃に丁々発止の受け答え.さすが外山弟子でsurviveしただけあって見事!
河西:「言葉尻をとらえられないよう注意しなくては」
激しい議論が続くなか
外山:「今まで黙って聞いていたんだがね」
全員:「???!!!」
河西:「幼児にも大きいスパインは沢山ある.悪いスパインを除いて良いスパインを育てるのが学習」
金子:「悪いスパインって,外山,篠本よ」
アフターセミナーは異様に盛り上がりました.
■■:「河西さんのように,外山先生のもとでsurviveした人は立派ですが,外山先生はけっこう学生をつぶしたんでしょうね」
外山:「つぶしたことなどない.自分でつぶれたんだ.」
(このあとさらにすごい会話が展開しましたが,あまりに生々しいので記録抹消.)
外山:「河西君が偉くなったのは,自分で偉くなったのではないだろう.」
篠本:「つぶれるのは勝手につぶれたわけで,偉くなったら外山先生のおかげ,ということですかあ?」
今日のキーワード:「切磋摩滅」
外山語録:
「研究の評価はフィギュアスケートのようなもので,“テクニカルメリット”と“サイエンティフィックメリット”と呼ぶべきものがある.“テクニカルメリット”のほうは,努力をすれば点数を上げることが出来る」