--- 第21回 --------------------------------------------------

演者:平野丈夫氏(京都大学大学院理学研究科)

題目:脳のはたらきを分子・細胞・神経回路・個体のレベルをつないで理解するためのアプローチ:小脳をモデルとして

日時:2004年11月2日(火)14:40−18:00

場所:京都大学基礎物理学研究所(場所は1週間ほど前に確定情報をお知らせします)

概要:私たちの研究室では、中枢神経系による情報処理過程を分子・細胞・神経回路・個体のレベルを結びつけた形で理解したいと考え、小脳を一つのモデルシステムとして取り上げて研究を行ってきている。小脳皮質は単純で規則的な構造を有し、構成細胞間のシナプス構築もよくわかっている。私たちのアプローチは、ブラックボックス部分が少ない比較的単純な実験系で確かな実験事実を積み上げることにより、中枢神経系の制御メカニズムの実体解明にせまろうというものである。中枢神経系およびそれが制御する行動としては単純な系を選んだが、実際には小脳が関与するシステムではかなり複雑な制御が行われているようである。私たちの研究手法とシナプス可塑性制御の分子・細胞機構、ミュータントマウスを用いた行動・in vivo神経 活動解析等の研究結果、そしてそれらの知見を繋げる仮説を紹介して、脳がはたらくメカニズム解明へむけてのアプローチについて議論の材料を提供したいと思う。

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学部生の頃に「自分の頭のことが知りたい」という志をもった平野さんはその目標に沿った研究生活をおくり一途に邁進.

カンデルのアメフラシ研究に触発され,現在では「行動に関わるニューロンとシナプスを全同定したい」という目標を掲げておられます.ませた学生だったんだなあ,,.

 

小脳LTDを培養系で実験的に証明.マー・アルブスの小脳パーセプトロン説をサポートする結果.これは非常にすっきりした結果です.

平野:「小脳はハノイの塔の解法をイメージするだけで活動する」

外山:「小脳は電卓である」

金子:「小脳疾患の患者さんは明るい」

小脳のイメージは人それぞれです.

 

平野:「ロタロット行動実験.(小脳のない)”lurcher”マウス,(小脳はあるけど)δ2ノックアウトされたマウス,健常マウス,を比較すると,δ2ノックアウトの成績が群を抜いて悪い.」

金子:「悪い教師(δ2ノックアウトされた小脳)はいないほうがよい.この,悪い教師,って篠本さんのことよ」

平野:「出来るだけブラックボックスをなくしてシンプルな図式を得る」

しかし図式はややこしくなってきました.外山先生も厳しくコメント.

アフターセミナー:

外山:「Aさんは厳しいひとだったな」

櫻井:「外山先生も厳しいでしょ.例えば,Fさんにはずいぶん厳しく指導されたようですね」

外山:「いや,厳しく指導したことなど全くない.困難なテーマを与えはしたけど,,.困難なテーマを与えるというのは,大事なことで,厳しいというのとは違う」

櫻井:「...」