--- 第16回 --------------------------------------------------

日程:2003年11月18日(火)14時40分より 場所:京都大学基礎物理学研究所

講師:宮川剛 (京都大学 先端領域融合医学)

題目:「統合失調症のカルシニューリン仮説」

要旨:演者は、これまで、各種遺伝子改変マウスに対して、幅広い領域をカバーした行動テストバッテリーを行うことにより、各種遺伝子の新規機能を見出してきた。最近、マサチューセッツ工科大学の利根川進博士らとの共同研究によって、この行動テストバッテリー戦略を用いることにより、カルシニューリン(CN)の前脳特異的ノックアウトマウスが顕著な作業記憶の障害、注意の障害、社会的行動の障害などを含む統合失調症様の行動異常を示すことを見いだし(Zeng et al.,2001; Miyakawa et al., 2003)、さらに、統合失調症患者のゲノムDNAサンプルを用いた相関解析によりCNの遺伝子が統合失調症と強く相関していることも報告した(Gerber et al., 2003)。 これらの知見に基づき、演者らはCNが関与する情報伝達機構の異常が統合失調症の発症メカニズムに決定的な役割を果たしているであろうことを初めて提唱した。CNはドーパミン受容体やNMDA受容体の下流に位置しており、統合失調症のCN仮説は、ドーパミン仮説やNMDA受容体仮説と高い整合性を持つ。CNミュータントマウスでは、海馬錐体細胞の樹状突起の長さが短く、数も少ないなど、統合失調症の神経発達障害仮説ともよく一致している。さらに、統合失調症患者の免疫系の異常、心臓疾患による高い突然死率、糖尿病の高い罹患率、リュウマチの低い罹患率など従来の仮説では説明がつかなかった現象までうまく説明することもできる。統合失調症をCNシグナル伝達機構の異常ととらえることによって、今後どのようにして統合失調症の発症メカニズムを解明していくかについての演者の研究戦略も紹介する。

 

特定研究「先端脳」の夏のワークショップの講演で注目を集めた宮川さんです.

 カルシニューリンが部位特異的に消えています.CA3には残っている.

 

「作業記憶課題,,」?サルの作業記憶とはかなり違うなあ,,.

「8方位迷路」ラットが解いた問題を外山先生がとけるか? 外山先生:「わからん,,.」

篠本:「統合失調症(分裂病)患者というのは1パーセントもいるの?」

金子:「医学部でも学生100人いれば1人いる.学生時代にも身の回りにいたでしょ?」

篠本:「物理学科では知らないうちにいなくなるのかなあ,よくわからんなあ」

機能生理的には因果関係がまだまだよくわからんけど,統合失調症の特効薬というビッグビジネスにつながるかもしれないという大きな話でした.

アフターセミナーは宮川さんの恩師とかの話題で盛り上がりました.何を話したかは秘密.