--- 第15回 --------------------------------------------------
日程:2003年10月7日(火)14時40分より 場所:京都大学基礎物理学研究所 湯川記念館2階小講義室
講師:宮内 哲氏 (通信総研)
題目:「Simultaneous EEG recording with fMRI」
外山先生相変わらず元気はつらつなんだろうなあ,とぐちをこぼしつつも外山御前講義志願の宮内さんです.逆転メガネ,睡眠,fMRI,EEGと話題豊富です.
要旨
fMRIとEEGの同時計測はこれまでにも報告されているが,有効な応用事例は少ない.われわれは以下の二点を目的としてfMRIとEEGの同時計測システムを構築した.(1)fMRIの実験中には,しばしば被験者の覚醒水準が低下する.覚醒水準の低下に伴い,反応時間等の行動指標や脳波の基礎律動は顕著に変化するにもかかわらず,これまで覚醒水準の変動に伴うfMRIの信号値の変化に関する検討は行なわれていない.(2)さらに,従来の特定のタスクに対するfMRI信号値の変化を計測する代わりに,EEG上のphasic
eventに伴うfMRI信号値の変化を計測する, Brain event-related fMRI(Be-fMRI)を新たに提唱する. その一例としてノンレム睡眠及びレム睡眠中の脳活動について報告する.(宮内哲,三崎将也,伊丸岡俊秀,田中靖人,)独立行政法人 通信総合研究所関西センタ研究センター脳情報グループ)
睡眠時に脳内で何が起こっているのか,という疑問に答えようとするチャレンジです.
ノンレム睡眠中は感覚遮断されるのか,運動系が抑制を受けているのか,レム睡眠は記憶のレギュレーションをやっているのか,夢には第1次視覚野が活動しているが,それは何をやっているか.いろんな難問があります.宮内さんは(MEGで計測される)脳波から定義される睡眠レベルと(fMRIによって計測される)脳活動領域との相関を調べられたのです.
「睡眠とか脳波とかコントロールされていない実験はきらいなんだな」と明言する外山先生,序盤戦から厳しいジョブ.
篠本「睡眠レベルというのは脳波から明瞭に定義されるんですか?」
宮内「国際的な基準があります」
外山「基準なんてものは,同じようなことをやっているやつが集まれば適当にでっち上げることはできる」
アフターセミナーの夕食会では「何年も前の夏のワークショップの講演で外山先生にかみつかれたことがいまだにトラウマになっている」と宮内さん述懐.どうぞこれに懲りずにまた参加してくださいね.