北澤 茂 氏 (産業技術総合研究所) 「脳の中の時間」
2002年12月18日(水)午後2時40分より午後6時まで,京都大学理学研究科5号館物理学教室3階第2講義室
脳のセミナー,今年のトリは外山先生のご指名で「時の人」北澤さん.「脳の中で時間を扱うのは難しい。ループが多いし、伝導速度もまちまちだから、信号の時間的な前後関係は簡単に失われてしまうはずだ。それでも何とかなっているのは、生存に必要な範囲で時間を扱う巧妙な「手抜き」をしているからに違いない。我々は最近、右手と左手に加えた刺激の主観的な時間順序が腕を交差すると逆転するという現象を発見した。この脳機能の「バグ」の研究から、脳がいかにして時間を表現しているかという問題にアプローチしてみたい。」
数学者のような風貌の北澤さんは医学部出身.写真を撮るとやはり数学の講義風景みたいに見える.
「未来が過去を変える」デモ.大道芸的才能もありました.これは「過去がさらにその過去を変える」というべきかな.
外山:それは科学的説明ではないな,文学的だな,昔の心理学!
文学部心理の桜井さんは「ううう」.彼はけっして寝ているわけではありません.
若者も元気に発言.
北澤:動き投影仮説,初期パッケージング仮説,時間センター仮説,コリジョン仮説.
篠本:仮説だらけで,バナナのたたき売りみたいだな.
外山:仮説を立てることは悪くない.ただしコリジョンなんて考えないで説明できるんだよね.
北澤:では相互作用仮説,マスキング仮説でどうでしょう.
風邪をおしての出席者が多く,アフターセミナー参加者は少なかったですが,医学部卒で研究者の道を選んだ北澤さんの人生の話に盛り上がりました.
北澤:人の役に立ちたいと思って医学部に入りました.
篠本:かっこいいなあ.ぼくもそのうちそんなことがいえるように考えておこう.
桜井:今まで人のじゃまになろうとしたことしかないくせに.