演者:      田村弘氏 大阪大学大学院基礎工学研究科

演題:      神経細胞集団による情報表現

複数の神経細胞がどのようにして情報を表現しているのか?複数の神経細胞を連絡するネットワークはどのような法則で構成されているのか?このような問題を解明するためには、これら複数の神経細胞から同時に活動を計測することが必須である。そこでマルチニューロン活動同時記録法を、物体認識に不可欠な視覚経路の最終段階に近い下側頭葉皮質TE野に適用して、物体の視覚イメージが複数の神経細胞によりどのように表現されているのか、およびその神経回路網について探った。特にTE野では、よく似た視覚図形に反応する神経細胞が隣接して存在しコラム構造を形成している。そこでこれら隣接した神経細胞に注目して実験をおこなった。その結果、1)隣接した複数神経細胞の活動の加算平均処理は、デコーディング精度の向上に有効ではない2)神経細胞間の複雑な視覚刺激に対する反応選択性の類似度と機能的神経結合の有無は相関する、ことがあきらかになった。TE野コラム構造の構成および機能的意義についても議論したい。

日時:      11月6日(火)午後2時40分より午後6時まで

場所:      人間環境学研究科棟、地下講義室B23-B

コラムの概念に変革が起こる、そんなことを期待させるセミナーでした。実験の結果はすばらしいもので、当の田村さんよりも聴衆のほうが興奮気味。論理の組み立ては厳しく問いつめられましたが、これも若い田村さんの今後の成長を願う親心(かな?)。

「抑制性結合があると相関が負になる。」「ふむむ」

3時間あまり、お疲れさまでした。聴衆は実験データのおもしろさを堪能しました。

若い田村さん。笑う元気が残っています。

 

アフターセミナーの飲み会は「T教授」「O教授」などという隠語?が飛び交う楽しいものとなりました。